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COLUMN

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DIALOGUE

カリモクとワクワク

ワクワクを形にする仕事

 

ワクワクを形にする仕事

僕はもともと営業畑の人間なのですが、2006年に辞令が下りて、いきなりカリモク60のブランドマネージャーになったんです。

当時、60VISIONの参加企業4社で同じ柄を使ったリミテッド(限定商品)を作る企画が進んでいまして。わけもわからないまま型紙を渡されて、この柄の布地を張った「Kチェア」を作ってくださいと。でも僕は、これまで売るほうばかりで、もの作りはまったくの素人。張地メーカーさんに相談してなんとか織ってもらったんですが、柄がきれいに出なくて。何度も試作して仕上げました。

でも正直な話、この在庫がなくなるまで時間がかかったんです。その間、現場を知ろうと、当時、全国に約70店ある取り扱い店さんをまわって話を聞いて。次は、必ず売れると思ったブラックのモケットの限定を投入しました。ただ本来、カリモク60は売れ筋狙いじゃないんです。60VISIONの思想ありきで、売れる、売れないはあとからついてくるという考え方。だから企画するときは、あえて売れ線を外しました。大切にしていたのは、ワクワク感。お客様はもちろん、作る側も売る側もワクワクするもの。「こう来たか!」と意外性のあるものを打ち出して、ファンに楽しんでもらうことが大事だと思っていました。ですから、かなり好き勝手にやらせてもらいました。1960年代の織り機でデニム生地を織っているメーカーにヴィンテージデニムを頼んで、張ってみたり。「デニムといえばやっぱり赤タグだ」って、遊び感覚で赤タグもつけました。プレミアムバージョンの「カリモク60+(ロクマルプラス)カリモク」では、念願だったオール日本素材の限定を作って。岩手県八幡平のクルミ材を使ったんですが、そのクルミが生えている山に完成品をかついで行って、撮影までしたんですよ。

27種類のリミテッドを作りましたが、一番しんどくておもしろかったのは、エリアリミテッドです。きっかけは、ナガオカケンメイさんが2008年に開催した「デザイン物産展ニッポン」。各都道府県の優れたデザインを並べた展示会で、そこに各都道府県の「Kチェア」があったらおもしろいだろうなと思って。ショップ限定のオリジナル「Kチェア」を作ったんです。参加したのは16店。一気には作れないので、約200枚に絞ったサンプルの生地を順番にお店に送って、選んでもらって。決まったらメーカーに発注、工場で生産、撮影というのを2か月近く繰り返しました。ホームページで順次ラインナップを発表していったんですが、これがかえって期待感を呼んで話題になりました。

カリモク60に携わった3年半、走り続けました。リミテッドを作りながら、従来の「Kチェア」の品質も高めました。お部屋をちゃんと作れるブランドにしたいと「カリモク60+」のラインナップも増やしました。最初は社内の認知度も低くて、横槍を入れる人も多くて。でも売れてくると、うちの工場にも何かやらせてと言われるようになるんです。いろいろな人がいて、それぞれ役割があり、それを調整して一つの形にして成果を出す。この仕事で調整力の大切さを学んで、ずいぶん鍛えられました。

山碕 太Futoshi Yamazaki

1988年入社。営業所所長を経て、2006年から10年までカリモク60のブランドマネージャーに。現在は営業推進部勤務。

Text:
Yuko Shibukawa
Illustration:
Yota Miyashiro