カリモク60の現場より
リレーごあいさつ
リレーごあいさつ
「Kチェア」が1962年にこの世に誕生して50年以上。数年前には、「Kチェア」50周年を記念して金属製の復刻プレートを付けた限定モデルを発売したのですが、あれからもうこんなに時が経っているとは。60周年はもう目の前です。記念すべきロクマルの年に向かってワクワクしながらも、今から準備をしていかないと、すぐにその時を迎えてしまうのだろうと、気持ちは少し焦ります。
そんな中で、実は2018年に「ロビーチェア」が50周年を迎えました。「ロビーチェア」は、「Kチェア」と並んでカリモク60を代表する名作であり、カリモク60の作り手や背景を取材した『カリモク60スタイルマガジンk』(*)の制作過程で、その多くを知ることができました。
社史などを通して会社の歴史を知ることはできても、生み出した製品のストーリーや、開発当時の様子について後世に語り継げるものは、これまでのカリモクにはあまりありませんでした。
製品を作る者、ブランドに携わる者が時とともに代替わりし、将来訪れる社員の世代交代に向けて、思いや歴史を正しく伝えるためには、このスタイルマガジンkは会社の貴重な財産になるのだと、制作にかかわって改めて感じることとなりました。
またカリモク60は、製品そのものがカリモクの歴史や原点を伝えるものでもあります。
仮に30年後、AIが人間の仕事の多くを担っていたとしても、それでもカリモク60は生き続け、45年後、50年後には、「この椅子は100年も前から作り続けている椅子なんです!」と、カリモクの社員が、いや、日本人が誇らしく言える世界がそこにあることを願っています。
そのために今の私がすべきことは、先人が残したこの普遍的な形の家具や、「カリモク」というモノ作りの会社を伝え続け、次の世代にそのバトンを渡していくことなのだと思います。
『カリモク60スタイルマガジンk』は、そんな一冊でもあるのです。
カリモク60ブランドマネージャー
日下部 聡