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COLUMN

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PEOPLE

人のはなし

「木と人の家具カリモク」の人についてお話しします。

古民家カフェオーナー、メンテナンス体験記

お店で10年以上働いてくれた「カフェチェア」。へたりやスレが気になるけれど、捨てるには忍びない。買い替えを迷っていたという「珈琲ぶりこ」のオーナー・古川真琴さん。熟練の修理職人さんが直してくれると聞いて、使い込んだ椅子とともに東浦の修理工場へ。

修理してくれたメンテナンス課の諏訪啓郎(てつろう)さん(左)と、竹折幸男さん(中央)と一緒に、記念撮影。
すべてはこの家の
空気感を生かすために

昔ながらの風情を残した名古屋の大須商店街。その一角に、格子戸の侘びた佇まいが目を引く「珈琲ぶりこ」はある。往時を偲ばせる間取りに、時を重ねた壁や建具が残る築70余年の古民家。こげ茶色の空間に、抹茶と「カフェチェア」の緑がよく似合う。「古い家ならではの空気感は作って出せるものではないので、インテリアもメニューもこの空間に合うものを考えました」と、もとは飲食業経験がなかったという店主の古川真琴さんは語る。13年前、仲間と東京で起ち上げた建築事務所が、名古屋にも拠点を構えることになり、物件を探していたときにこの家の前を偶然通りかかった。「東京の事務所も、社宅だった木造の建物をリノベーションして使っていました。もともと古い建物が好きだったので、この家を一目見て気に入りました」。

とはいえ事務所だけでは広すぎると、テイクアウトのコーヒースタンドを併設することにした。当初、2階は飲みものを買った人が好きにくつろげる場として開放していた。だが、お客の「スイーツが食べたい」「ランチがしたい」という要望に応えるうち、徐々に現在のカフェスタイルに変わっていった。

その昔は、呉服屋兼住まいだったというこの建物。呉服屋を別の場所に移したあとも老婦人が一人で住んでいたため、内装もあまり手が加えられていなかった。「畳を上げたり、押し入れを取ったりはしましたが、あとは最低限の耐震補強をしたぐらい。できるだけ元の姿を残そうと、襖もそのままです」。

椅子やテーブルを選ぶときも、この空気感を壊さないことが最優先。あまり大きすぎず、耐久性があって使い心地がよく、コストに見合うもの。そこで見つけたのが、モケットグリーンの「カフェチェア」だった。「見た瞬間、電車のシートを思い出して懐かしくなりました。これなら汚れにも強いだろうし、使い込んでも味わいがあるだろうと」。まず4脚を入れ、途中で「Kチェア」も買い揃えた。「へたってきましたが、汚れにくくて。メンテナンスがラクだとつるつるピカピカしたものが多くなりますが、これは雰囲気もあって、本当に手間のかからない“いい子たち”です」。

店名は、運営会社の名でもある「ブリコラージュ」に由来している。ブリコラージュとはフランス語で、ありあわせの道具や材料を使って自らの手でモノを作ったり、繕ったりすること。いまあるモノを生かしながら、大切に使い続けていく。まさにブリコラージュの居心地のよさが、ここにはある。

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